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『薬籠』という健康情報紙を毎月つくって36年になります。

漢方薬の事や病気の事、ちょっとした生活の知恵などを解りやすいかたちにして店頭でお渡ししています。

 

最近の記事の一部を紹介します。

桂枝加竜骨牡蛎湯・けいしかりゅうこつぼれいとう

  ・・・比較的身体的に弱い方のこころの心配の薬(不眠)

1800年くらい前の「金匱要略きんきようりゃく」という書物にあるのですが、昔も「こころ」の心配はあったのですね。

この薬方は基本に「桂枝湯」という鎮静や鎮痛を主とした薬方を使い、これに竜骨(古代の恐竜?の化石)と貝の牡蛎の殻を加えたものです。「桂枝湯」はシナモンで有名な桂枝と、芍薬やナツメに甘草と生姜が成分です。

 優しい効き目と副作用のない、安心な「安定剤」としての位置づけがされます。神経症や不眠症に使うのですが、少し体の弱い子の体質改善や夜尿症にも使います。

 大人でも体力の低下した方、体質の虚弱な人、痩せて顔色が良くなく、神経過敏、ストレスなどで精神的に不安状態を呈している場合や、疲れやすく寝汗やうっすらと汗を意識する、手足が冷える、驚き易い、など「こころ」の不安定感を伴う方々に使います。やせて皮下脂肪はないのに、お腹の腹直筋が張って、中にはオヘソの付近で「ドキドキ」と感じることもある。

「こころの心配」のある方は元来、優しく心配りのある方で、いつもその先の事を考え、行動することが多いので、「自律神経」という、生きて行く上で大切な、「命」を司る神経が過敏になったり、失調したりしやすいのです。この神経は「ホメオスタシス(体の恒常性の維持機能)」という常に同じ状態を保つ為に、交感神経と副交感神経という「アクセル」と「ブレーキ」の役目をする神経が働いています。丁度、公園にある「シーソー」のように微妙にバランスを取っているんです。この仕事を上手く行かせる為に必要なのが、「睡眠」と「休養」です。  

 生活の中でのストレスや無理をするために休みを取らなければ緊張は高まってゆきます。

こころの安定には、簡単に「安定剤」や「睡眠導入剤」で安い睡眠をとるのではなく、一日が24時間であるのを意識し、その中に「食事」・「睡眠」・「休養」が上手に取れていることが必要です。うまく睡眠がとれて、食事が「美味しく」感じればそれが一番。そんなきっかけになればと考えます。 

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